〈事務局〉
群馬大学医学部附属病院
病理部・病理診断科
〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-15
今年度より群馬臨床細胞学会の会長に就任いたしました,群馬大学保健学研究科生体情報検査科学の齊尾と申します。群馬臨床細胞学会を代表して一言ご挨拶申し上げます。
群馬県は関東平野の北端に位置し,関東という区分から言えば地方なのかもしれません。しかし東京へは新幹線,在来線の両方が乗り入れており,前橋市の都市圏(人口の10%以上が通勤や通学している都市を合わせた領域)は110万人にのぼり,政令指定都市に匹敵します。群馬県は魅力度ランキングで毎年40位台に甘んじていると思いますが,それは偏った尺度によるものなのではないかと心から感じています。このような背景から私は在任中,「群馬臨床細胞学会を細胞診の勉強が活発な地域」として全国的にも知られるような存在にしてゆきたいと考えております。
近年の人工知能の発達,特に深層学習の発達で,言語,画像などの認識は大きく変貌しようとしております。しかし人工知能は,情報としてインプットされた内容とサンプルを比較して確率的に高い結果を示しているのですが,そのプロセスには人間が今まで培ってきた病理学・病理診断学・細胞診断学などの判断基準は用いられておりません。単に一定の数式で変換された既知の情報との比較を行っているにすぎません。このため,人工知能は一定の間違いを確実にします。これは避けられないことなのです。これは人命を扱う領域では致命的です。従いまして,今後も病理・細胞診においてはヒトによる判断は必須であり,AIは補助的に活用されると思われます。また,細胞診をはじめとする形態的観察は遺伝子診断と比較すると安価で確立された技術です。全部の症例が全て遺伝子的な情報に基づいて判定されるわけではないとも言えます。このため今後も病理・細胞診は遺伝子情報との整合性をとりつつアップデートされてゆく必要があります。ですから我々は,今後もこれらの状況を鑑みて,AIや遺伝子検査に対応すべく,最新の知識を勉強し続ける必要があると言えます。「全国学会で勉強できるから県の学会での勉強なんて」という方もおられますが,全国学会では自らが選んで聴講するため,知識が偏りがちです。他方,地区学会では一つのテーマを全員で勉強するという点で,この特徴を上手に活用すれば,県内の学会員が同一の知識をつけることができます。
群馬臨床細胞学会を「細胞診の勉強の盛んな地区学会」として上述のような内容に対応できる勉学を続けて行く場所にできれば幸いです。
令和6年4月吉日
〒371-8511
群馬県前橋市昭和町3-39-15
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病理部・病理診断科
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